SoutaEiga

映画のレビューを月2本していく予定です。

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2015年 7月 予告犯(邦画)
      アベンジャーズ/エイジオブウルトロン(洋画)

アベンジャーズ/エイジオブウルトロン(2015//洋画)

アベンジャーズの二作目、エイジオブウルトロンの公開だ。
マーベル・シネマティック・ユニバース企画を非常に楽しみにしている一人として
こんなに嬉しい事はない。
監督はMSUの作品常連であるジョス・ウェドン。音楽は、こちらも常連のブライアン・タイラー。


http://marvel.disney.co.jp/movie/avengers.html




さて、待ち望んだだけあって、期待が大きい今作。
期待だけがひとり歩きした結果、返って来たのは落胆だけだった。
結局、一作目のオールスターでの盛り上がりを引きずり、同じような事を繰り返している。
新キャラも……うーん、となる様な魅力の無さ。
更に肝心のストーリーがこれでは今後の展開も危うまれる。ゲームで言えばダメなスパロボ、と言ったくらいだろう。


だが、アクション筋肉に救済点はある。
VFXの美麗さ、役者の肉体美と洗練された小道具、CG、おそらく3Dを意識したカメラワークなどは非常に美しいし、一度ならず二度三度と見たくなるシーンばかりだ。
しかし、それすら潤沢な予算なら可能じゃないか、と思えてしまうほどストーリーは陳腐だ。
ヒーローも製作も"力"で解決するのはいかがなものか?


……とにかく、お祭りにとやかく言うのは止そう。
今作の期待を持たせるエンディングの通り、MSUのフェイズ3も気合を入れてほしい。
アメイジングスパイダーマンの話(アメスパ打ち切り問題)でどう動くのか、楽しみではある。


(そんな事より9月公開のアントマンが楽しみだったりする)



とりあえず、一作目を復習してみようという方にはこちらがオススメ。



予告犯(2015//邦画)

 最初の映画が邦画になるとは思わなかった。
 「予告犯」は「白ゆき姫殺人事件(2014)」の中村義洋が監督を務めている。
 原作はジャンプコミックスの同名マンガ。全3巻。



 http://yokoku-han.jp/


 大まかなあらすじ(公式より抜粋)
 "警視庁のネット犯罪の対策部署として設立されたサイバー犯罪対策課。ある日、動画サイトYOURTUBEに、新聞紙を頭に被った男が、某食品加工会社に放火の予告をしている動画が発見される。その後も幾度となく犯罪予告を繰り返す男。警視庁はこの男を“新聞男”と名付ける。サイバー犯罪対策課は新聞男は複数犯であると睨み、新聞男らの正体や動機を探るべく本腰を入れて調査を始めるようになる。
ネット上では通称“シンブンシ”と呼ばれることの多い新聞男。彼らは主にソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)上で失言をして炎上騒ぎを起こした者に対して、犯罪予告をしてその後制裁を行っている。制裁の方法もターゲットを監禁拉致して重傷を負わせる、精神的苦痛を与える、または世間での評判を失墜させるようなケースまで様々である。また、シンブンシ一味の真似をして駅前での殺害予告を実行しようとする者が現れるなど、社会現象を巻き起こすまでなった。ネット上のユーザー投票でも徐々に支持が不支持を上回るようになり、シンブンシはカリスマ的ともいえる人気を博していく。
シンブンシの真の目的は?"


 まず、この予告やあらすじを見た時に、これはニコニコ動画世代が食いつくような若年層向けのチープなフィルムだ、と敬遠した事を謝罪したい。鑑賞後は必ず良かった、とインターネットやSNSを活用したことのある視聴者(せいぜい30代以下の)全員が言えるような映画にまとまっている。
 日本という狭い舞台(しかも関東圏のみ)で、このエンターテイメント性、社会性時事性、そして少し多めのフィクションは、間違いなくカーチェイスとガンファイトの多いハリウッド映画より納得のいく物となっていた。
 また漫画を全く読んだことのない、普段敬遠している人も漫画らしさがないのでオススメ。


 ストーリーの魅せ方も面白い、俳優陣の演技も見事としか言いようがない。
 特に主演の生田斗真。大型スクリーンに耐えうるヨーロッパ系の端正な顔立ちは何度見ても苦痛でない。演技も勿論良かった、核心人物として物語の担い手を見事果たしている。
 一方、刑事役の戸田恵梨香は役柄のせいか演技がパッとしない。顔も元来ぺちゃんこ和顔で、生田斗真のイタリア人級の鼻骨と比較すると少々不憫に思える。
 ちなみにめちゃくちゃかわいいかわいい(二度目だが誤字でない)


 何を語っても物語のコアに触れてしまうので、内容に関しては以上にするしかない。
 更に追求するなら音楽が素晴らしかった。インターネットのシーンでは電子音楽、現実世界ではクラシカルな生楽器での演奏が用意されていて、不安を煽るような希望があるような、ハリウッドの単調で大げさなBGMとは違い、音は重厚でも扱いは繊細で、物語をそっと支えていると思う。


 漫画原作ということで風当たりは強いと思うが、個人的には是非映画館で、久々に邦画も見てみるか、という方にオススメしたい一作だ。映像技術しかり丁寧なカット割りに感心を覚えるはず。
 そして、間違いなく最後まで騙され、物語に、新聞男に、翻弄されるに違いない。






既にサウンドトラックが発売されている。私は購入済!